(19)まだ目を見れない
見れないじゃなくて見られないだろ!ら抜き言葉とかお前はゆとりか!
とかジジイ臭いことは置いといて、トロスト区奪還作戦の様子は速報で壁の中へも伝わっていました。
ガリ版刷りの新聞のようなものが出回っていて、市民たちは事の真偽について議論します。
王政のお墨付きのない商会の情報なんて当てにならん、いや王政府の発表なんて俺達を騙すための嘘だ、と懐疑的なリテラシーが強く持たれていますね。
まあ情報の正誤が生死を分ける状況なら自然とそうなりますか。
岩で穴を塞いでから数日、エレンはまだ地下牢の中です。周りの状況はつかめていません。
そこへ調査兵団分隊長のハンジ・ゾエ、およびミケ・ザカリアスが迎えに来ました。
連れて行かれたのは審議所。すでに大勢の聴衆が集まっています。
憲兵団の幹部、ピクシス司令、エルヴィン団長、リヴァイ兵長、ミカサ、アルミン、リコらの姿もありました。
兵法会議の議長を務めるのはダリス・ザックレー総統。3つの兵団を束ねるトップです。
エレンの存在が民衆に知れ、政治的な存在になってしまったがゆえに、エレンの公式な処遇について決める必要があるとのことです。
憲兵団の師団長ナイル・ドークの主張は、解剖ののち処刑。エレンを英雄視する改革派の民衆や商人が勢いづいており、保守派の有力者を脅かしつつあるという理由です。
割って入ったのは宗教団体幹部のニック司祭。直ちに殺すべしと主張します。
調査兵団のエルヴィン団長は一言、エレンを調査兵団に迎え入れ、ウォール・マリア奪回の戦力とすると述べました。
壁を完全に埋めろと主張する保守派の商会関係者、壁は神聖不可侵にして触れるべからずと吠えるニック司祭。
ここではこの司祭が空論をのたまい白い目で見られる道化として描かれていますが、重要なのは壁が神から授かった人知の及ばぬ偉業だと言っている点です。
単に街の先祖が作った壁ならばこのような言い方はされないはず。あの壁はどのようにして作られたのでしょうか?
議題はエレンが巨人の力をコントロールできるか?という点へ移ります。ミカサを攻撃した件ですが、エレンの記憶にはありません。ミカサはエレンが自分を救ってくれたと抗弁しますが、ナイルに主観的見解であると反論され、さらに幼少期の強盗誘拐犯を刺殺した事件を掘り起こされます。人間性に疑問ありと。
しかしあの時は過剰防衛などの罪に問われなかったはず。ちょっと辻褄のあわない倫理観ですが、とにかくエレンとミカサは凶暴で危険な人間だと聴衆に印象づけられました。
恐怖に怯え、己の保身に腐心する人々をみて業を煮やしたエレンは叫びます。
「力を持ってる人が戦わなくてどうするんですか 生きるために戦うのが怖いって言うなら 力を貸してくださいよ」
「この・・・腰抜けどもめ・・・いいから黙って 全部オレに投資しろ!!」
浮き足立った聴衆はエレンが自分たちに攻撃的な態度を取ったと受け止めますが、そこへリヴァイが乱入。
後ろ手で縛られたエレンをボッコボコに蹴り飛ばします。数えること10回。躾だと。
怒らせると巨人化するのではないかと憲兵団のナイルが咎めると、「お前らはこいつを解剖するんだろ?」とリヴァイに問われます。
あっ・・・!そっか、やべどうしよ・・・その発想はなかったわ~みたいな顔の憲兵団。おいおい、エレンがおとなしく従うっていう前提はどこから来たんだ?
巨人化したら範馬勇次郎と同じく、一個体で国家を転覆できる存在だぞ。
ピンの抜けた手榴弾のようなエレンを目の前に怖気づく聴衆たち。そこでエルヴィンがリヴァイを監視役とし、自分たちが身柄を預かると主張。うまい駆け引きです。
しかし内地でエレンを担いで秩序を乱そうとしている勢力がいるのも事実。悠長にはしていられません。
そのため次回の壁外調査へエレンを同行させ、そこで戦力としての価値を確認する。それができなければ再度審議するということで決着しました。
必要な演出であったとは言え、リヴァイにボコられた時に歯が折れてしまい、治療をしようとエレンの口を見たハンジ。
驚くべきことに、エレンの歯は再生していたのでした・・・。
巨人の能力は人間でいる時のエレンにも伝播・侵食する・・・?
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