(12)偶像

調査兵団の報告によると、巨人は南から現れるらしい。

となると、巨人はどこかに拠点を持っているのだろうか?

彼らは食事が必要なく、相互にコミュニケーションを取る様子もないため、どこへ行くのも自由気まま。

唯一「人のいるところに集まる」という習性があるだけのはず。それなのに巨人は「南から来る」・・・。

何気ないことですが、これは重要なポイントではないでしょうか?

 

前回のラストでエレンたちの窮地を救ったハゲのオッサンはドット・ピクシス司令。

南側を防衛する兵団の最高責任者で、生来の変人だそうです。

 

ピクシス司令は穏やかな態度でアルミンとエレンに話を聞きます。

アルミンの案は巨人エレンに大岩を運ばせ、壁の穴を塞ぐこと。

エレンは一瞬迷いますが、塞いでみせると答えます。

ピクシス司令は判断が早く、早速参謀を呼んで作戦を立てさせます。

 

あまりの行動の速さに驚くアルミンですが、エレンは何か思うところがある様子。

「作戦を実行する前に根本的な原因がある ピクシス司令はその現状を正しく認識してる」

「敵は巨人だけじゃない」

アルミンは意外そうな顔ですが、おそらく人間同士の疑心暗鬼、恐怖の伝染、そういったことでしょうか?

 

案の定、トロスト区奪還作戦の実施が伝えられた兵士たちは恐怖におののきます。

なぜ封鎖したトロスト区へまた戻るのか、これでは無駄死だ・・・。

規律を無視し、堂々と作戦を批判する兵士も出始めました。こうなると群集心理でパニックが起こる可能性が出てきます。

 

壁の上を歩きながらエレンに語りかけるピクシス。

「巨人に地上を支配される前 人類は種族や理の違う者同士で果てのない殺し合いを続けていたと言われておる」

「その時に誰かが言ったそうな もし人類以外の強大な敵が現れたら 人類は一丸となり争いごとをやめるだろうと・・・お主はどう思うかの?」

エレンの感想は「ずいぶんと呑気ですね・・・欠伸が出ます」

 

この会話、結構重要じゃないでしょうか?

こんな説はどうでしょう。

人類は壁にこもる以前に、終末戦争とでもいうべき世界的な戦争を続けていて、そこから逃れた平和主義者たちが壁の中に閉じこもり、戦争に巻き込まれないために周囲に巨人を放った・・・。

あるいは一部の狂信的な平和主義者が巨人を放つことで人類同士を結束させ、戦争を終わらせようとした・・・。

主人公であるエレンに平和理想主義を否定させていますので、当然作者の考えもエレンと同じはずです。

理想を掲げるばかりで現実的な判断ができない人をこの作品は終始批判していますが、さて・・・?

 

話を戻します。

ピクシス司令はエレンを「極秘の巨人化実験の成功者」として紹介し、彼が岩で壁の穴を塞ぐこと、兵士による援護が必要なことを説明します。

しかし恐怖に染まった兵士たちはそれを信じようとしません。付き合ってられるかとばかりに、任務放棄して隊を離脱しようとする者が出始めます。

壁の上からピクシス司令が一喝!

「今この場から去る者の罪を免除する!」

皆一様に驚きます。え?マジで?

「巨人の恐ろしさを知った者はここから去るがいい! そして!」

「その巨人の恐ろしさを自分の親兄弟 愛するものにも味わわせたい者も! ここから去るがいい!」

この一言で、兵士たちが我に返ります。そう、兵士たちが逃げ出したら、どのみち人類は巨人に皆殺しです。

そして巨人から逃れたとしても、残った狭い土地ではすべての人口を養えません。人間同士が食糧を奪い合って滅ぶ様が容易に想像できます。

人口の2割を投入した4年前の奪回作戦も、事実上の口減らし、間引きであったとピクシスは公言しました。

作戦は決行です。

 

巨人が出現して以来 人類が巨人に勝ったことは一度もない

巨人が進んだ分だけ人類は後退を繰り返し 領土を奪われ続けてきた

しかしこの作戦が成功した時 人類は初めて巨人から領土を奪い返すことに成功する

その時が 人類が初めて巨人に勝利する瞬間であろう

それは人類が奪われてきたモノに比べれば小さなモノかもしれん

しかしその一歩は我々人類にとっての 大きな進撃となる

 

ここで進撃というフレーズが初めて登場しました。

「進撃の巨人」とは要するにエレンのことだったのでしょうか?

 

巨人化し、穴をふさぐ大岩の前に降り立ったエレン。岩を前にしてミカサの方を振り返ります。

次の瞬間、巨人エレンはミカサめがけて右ストレートを振りぬきました。

 

エレンは自意識を制御できないのでしょうか?ミカサの安否は!?

 

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