(10)左腕の行方

少し時間をさかのぼり、エレンがアルミンを救出して自分はヒゲ面の巨人に食われたところからです。

巨人の胃の中に生きたまま丸呑みされたエレン。酸性の液体が先に食われた人間を消化していますが、巨人は食べることで栄養を摂取しなくても生きていけるのにどうして胃や胃液があるんでしょうね?

 

エレンはなすすべなくズブズブと胃液に沈みながら切断された左腕を上に伸ばしますが、それに呼応するように突如として巨大な左腕が出現し、巨人の喉から外めがけてぶち破ります!

巨人の胴体をまっぷたつに引き裂いて現れたあらたな巨人。前回、エレンがうなじから出てきたあの特殊巨人です。以下、巨人エレンと称します。

 

巨人エレンは圧倒的なパワーで近くの巨人をねじふせます。ここまでがエレンの記憶。現在のエレンへと場面が戻ります。

目覚めたエレンはミカサ・アルミンとともに大勢の兵士に取り囲まれ、明らかな敵意を向けられていました。

 

隊長はエレンが巨人であった事実からエレンが人類の敵である危険性を考慮、この場で処刑するつもりのようです。

恐怖が伝染し疑心暗鬼になっている兵士たちがエレンを殺すよう促します。

 

エレンをかばって前に立つミカサ。相変わらず冷徹な瞳です。この場の全員を殺してでもエレンだけは守るという並ならぬ決意と迫力を感じます。

これではモブ兵士ごときでは相手になりません。

班長に「彼女の働きは並の兵士100人と等価です」「失えば人類にとっての大損害です」とまで言わしめるミカサ。

 

隊長はもう一度エレンに問います。「貴様の正体は何だ!?」と。

エレンは「人間です」とだけ答えますが、隊長は聞く耳を持ちません。じゃあ何て答えればいいんだよ!

「巨人です!」→「やっぱりな!死ね!」

「人間です!」→「嘘つくな!死ね!」

要するに何を言っても結果は変わらないんでしょう。

 

隊長が砲撃の合図を送ろうとしたまさにその時、エレンは自分が首からかけていた鍵の存在に気が付きます。

それとともに蘇る父の記憶。そう、5年前の「あの日」父が秘密の地下室を見せてやるといった時の鍵です。

その後ウォールマリアが陥落した後、エレンはどこかで父と会っています。記憶障害を起こす謎の注射とともに、この鍵を父から託されたエレン。

「この鍵を見るたびに思いだせ・・・お前が地下室に行かなくてはならないことを」

「お前はウォールマリアを奪還して地下室に辿り着かなければならない この力はその時役に立つはずだ」

「使い方は彼らの記憶が教えてくれるだろう・・・」

「ミカサやアルミン・・・みんなを救いたいなら お前はこの力を・・・支配しなくてはならない」

鮮明に蘇る父・グリシャの言葉。砲弾が放たれ、エレンは反射的に自分の左手を噛み切ると、突如として巨大な左手が骨格、ついで筋肉と順に現れ榴弾を防ぎます!

そこに出現したのは巨人の上半身。右半身は骨だけで、左半身に胸から腕にかけて筋肉が付いている、まにあわせの姿でした。

 

物語の謎を考える上で、今回のグリシャの話は大きなポイントになります。

グリシャがエレンに接種した注射が巨人化能力のきっかけと考えて間違いないでしょう。

問題は、

なぜエレンに注射したのか?

どこでどうやってその技術や知識を手に入れたのか?

どうしてその技術を秘匿しているのか?

なぜ、エレンが地下室に行かねばならないのか?

地下室には何があるのか?

彼らとは誰か

という点です。

 

材料が足りないので単なる当て推量でしかないのですが、例えばこんなシナリオはどうでしょうか。

グリシャはどこかの研究施設から逃げ出した科学者で、巨人の力を制御する方法は実は王政府によって大掛かりに研究されているが、当然民衆には知らされていない。

街を襲う巨人たちも元々は実験の被験体で、人間が変異した姿である。

地下室には研究の記録媒体、あるいは巨人を生み出す「種」のようなもの・・・グリシャが持ちだした巨人研究の根幹をなす何かがある。

彼らとは巨人そのもので、巨人化能力とは自分が巨人になるわけではなく、データ領域から巨人を呼び出して物質化させ、それを人間がコアとなって制御する技術。

巨人化能力には適性がある。グリシャは適応できなかったのでエレンに。あるいはエレン自体がそもそもそのために生み出された間。

 ・・・ありがちですけどね。

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