(2)その日
前回のラストからいきなり時間が飛んで、5年後になっています。
ここで
・今から107年前に人類が巨人に食い尽くされるという事件が起こったこと
・街の住民の祖先が壁を作って生存領域を確保したこと
が兵団指揮官の口から語られます。まあ本当かどうかはわかりません。そういうふうに教育されているだけかもしれませんね。
物語はここでまた5年前、前回のラストで語られた惨劇の日へと巻き戻ります。
突如出現した超大型のマッスル巨人は足で壁の門扉部分を蹴り飛ばし、大穴を開けます。
飛び散った壁の破片があちこちで民家や施設を直撃、街はすでに大被害です。パニックを起こし逃げ惑う住民。エレンとミカサは自宅へ駆け戻りますが、そこには破片が直撃して全壊した自宅と、瓦礫に挟まれて身動きが取れなくなった母・カルラがいました。足が挟まれているものの、見たところ命の別状はないようです。
瓦礫をどかして母を助けようとするエレンとミカサですが、街の中へ次々と巨人が侵入してきました。自分をおいて逃げるよう諭す母。従わないエレン。「母さんの足は瓦礫に潰されてここから出られたとしても走れない・・・わかるだろ?」「オレが担いで走るよ!」「どうしていつも母さんの言うこと効かないの!最期くらい言うこと聞いてよ!」互いに互いを守りたい一心での、命がけの親子喧嘩です。
そうこうしているうちに巨人が一体、現場へ到着してしまいました。
そこへ疾風とともに駆けつけた兵士がひとり。「ハンネスさん!!」待ってました、これで戦える!やっちまえ飲んだくれオヤジ!!
あの酔っ払いがものすごく勇ましく見えます。
が、母カルラはハンネスに子供たちを連れて逃げるように懇願しますが、そこはハンネスさんも立派なヒゲ男子。はいそうですかと引き下がれません。
「見くびってもらっちゃ困るぜカルラ!」「恩人の家族を救ってようやく恩返しを―」
ハンネスさんは前回もエレンの父は街の恩人だと発言していましたが、何がどう恩人なんでしょうか?
単に医学や薬学を修めた人が貴重な存在というだけなのか、それ以上の何か特別な行為があったのか、それはまだ明らかではありません。
カルラに泣いて頼まれたハンネスさん、ここが正念場です。逃げて確実に2人だけ助けるか、戦って全員助けるか。
ハンネスさんはここでググッと力を込めて、手にした刀を握り直します。やるのか?やるのか酔っぱらい!
ギン!と気合をこめて巨人にガンを飛ばしたハンネス!!
巨人と目があった途端
「ブル・・・」
あいたたた、完全に目から力がなくなっちゃいました。蒼白な顔でエレンとミカサを担ぎあげると、その場に背を向けて後退!見送るカルラは安堵して「ありがとう・・・」。母さん美人です。
悲劇のヒロインとして満足気に死ぬのかと思いきや、そこでカルラのの脳裏に突如蘇ったのはこれまでの日常の一コマ。家族団らんの食卓風景でした。遠ざかっていく子供たち、それと一緒に遠くなる日常。カルラは思わず「行かないで・・・」と本音を漏らしますが、叫ぶまいと必死で口を手で覆います。
母としての強さ、そして人間としての弱さ。わずか数ページの間でしたが、物語を完全に主導していたカルラは、巨人につまみ上げられ、手のひらで握りつぶされ、口から盛大に血を吐いて絶命。ゆっくりと巨人に噛み砕かれ、胃の中へ送られました。服ごと。どうやら巨人は人間を食べるときに服を剥く習性はないようですが、邪魔じゃないのでしょうか? ガンツで出てきた巨人型宇宙人は、人間を捕まえて食べるのに服を薬液で溶かして裸にしてましたね。
ミカサはカルラの捕食シーンで顔を背けましたが、エレンはそれを目に焼き付けるように凝視していました。ハンネスの背中で。
安全な場所まで来てエレンはハンネスの肩から降りると、当然激しく叱責します。ハンネスの涙ながらの告白。
「お前の母さんを助けられなかったのは、お前に力がなかったからだ・・・」
「オレが巨人に立ち向かわなかったのは・・・オレに勇気がなかったからだ・・・すまない・・・」
大の大人に泣いて謝られたエレン少年。拳の持って行きどころがありません。
一方ミカサはあまり感情的になる様子がなく、その代わりにズキズキと頭痛を感じていました。
そしてボソリと「あぁ・・・またこれか・・・」。冷めた目でつぶやきました。その真意は謎です。まさか時間軸をループして何度もこのシーンを見ているのでしょうか?
避難民を乗せた船が川を登るため出航します。近くの門では住民の避難が完了する前に門を閉じるかどうかで口論が起こっていました。
曰く、「この門を破られたら次の壁まで人類の活動領域が後退する」とのこと。
ええ~・・・?どういうこと?と思って地図をみると、人類の生存圏は円形の壁がぐるりと3重に重なっていて、いわば「本丸」「二の丸」「三の丸」を形成しており、その外壁からちょこっと飛び出した出島みたいな構造の部分があります。
今回突破されたのはこの出島(シガンシナ区)の先端の扉だったんですね。なので緊急時には出島だけ封鎖すれば壁本体の中は守れるというわけです。
で、今争っているのはその本命である「三の丸」(ウォール・マリア)への入り口ですね。
そこへ突如、高速で移動する「武器が効かない」巨人が現れ、門に右肩で見事なタックルをぶちかまします!
これで人類の生存エリアは「本丸」と「二の丸」だけになってしまったと。こういう大雑把な陣取り合戦が行われているようです。
絶望が人々にたちこめる中、エレンは泣きながらも立ち上がります。「弱い奴は泣き喚くしかないのか!? 駆逐してやる!この世から・・・一匹残らず!!」涙とともに、強い意志の炎が灯った目でその光景を焼き付けるエレンでした。
ここまでが5年前の「あの日」の回想シーンです。場面は現代、850年の兵団訓辞へと戻ってきます。今回の冒頭の場面ですね。
軽く人類の生存エリアについて説明があった後、上官が目の前の兵士たちに向かってこう言います。
「本日諸君らは訓練兵を卒業する」・・・彼らは兵士になりたての少年少女たちだったのです。
続いて成績優秀者が発表されます。主席はあのミカサ、エレンも5位の成績です。アルミンも列にはいますが、10位には入れなかったようです。
「今度は人類の番だ」「今度は人類が・・・巨人を食い尽くしてやる!」
成長したエレンのつよい決意とともに次回へ続く。
ここで一気に主要キャラが増えましたが、この作風だと半分くらいが次回で死ぬのではないか・・・
そう思えて仕方がありません。
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