(37)南西へ

今回は久々に主役チームが登場します。

時系列や場所が変わって混乱するので、少し前の話から流れを整理してみましょう。

 


ウォール・シーナの東側にあるストヘス区でエレンが女型の巨人を倒した後、壁の構造体の内側には超大型クラスの巨人が詰まっていることが発覚。

それを知りながら黙っていたニック司祭を問い詰めるハンジですが、司祭は脅迫されても教団の秘密を話しません。

その日の夜に当日の出来事を総括する会議が開かれ、アニは捕獲したものの結晶化して情報は引き出せていないことが報告されています。

そこへウォール・ローゼの南区が巨人の侵攻を受けているという火急の知らせが飛び込んできました。

(第34話・コミックス8巻収録)

 

今回はその場面の続きとなります。

 


巨人発見から20時間後、ストへス区からエルミハ区経由でウォールローゼの南区を目指す主役チーム。

 

現場の情報がないのでとにかく急いで向かっているという状況ですが、今回はニック司祭も同道しています。

司祭は自分の目で被害を確認してから秘密を話すべきかどうか決めるという心算らしいのですが、エレンは人類の存亡より重要なことなどないと反論。

しかしハンジは司祭の肩を持ち、何か理由があるのだと弁護します。

 

ハンジやアルミンといった賢いポジションのキャラが推測したことは高い確率で事実として明らかになるパターンですから、彼らの発言はそのままストーリーの地の文と捉えてよさそうです。

 


さて、ハンジは女型の巨人の硬化した皮膚の破片を持っていました。

巨人は死んだり変身が解けると肉体は蒸発・霧散して跡形もなく消えるのですが、硬質化した皮膚はそのまま固形物として姿をとどめています。

壁の破片と比較して、非常によく似た構造や性質を持つことが確認されたそうです。

 

街を守る壁は大型巨人が柱となり、巨人の硬質化能力で作られたものだったことがこれで確定的になりました。

現存する人類が持つ建築技術の水準を明らかに超える壁がどうやって作られたのか?という疑問に一つの解が示されたことになります。

次なる謎は、一体誰が、何のために? この疑問の答えが導かれるのはもう少し先のことでしょう。

 

 

巨人の硬質化能力で壁は作られた、それならばエレンが巨人化して同様の能力を行使することで、壁に開いた穴を塞ぐことができるのではないか・・・?

アルミンとハンジは同じ発想に行き着きます。

この方法なら穴をふさぐための岩や資材を運搬する必要がなく、身軽な少人数編成でこれからすぐにでも壁の破損箇所に到達することができそうです。

 

ウォールローゼ、ウォールマリアと穴を塞いだら一気に人類の生活圏を奪還して、全ての答えが待つエレンの家の地下室へ・・・。

当初は20年かかる見積もりでしたが俄然現実味を帯びてきました。

もちろん、エレンがこれまでに使ったことのない硬質化能力を使いこなせることが前提ではありますが。

 


ウォールシーナ南端のエルミハ区。

突破されたローゼの壁の住民たちが避難のために押し寄せ、通りは人で埋め尽くされていました。

大きな混乱はなく、みな押し黙って歩きます。どこか定められた避難先を目指しているのでしょうか。

 

ニック司祭はその様子を見て心を痛めますが、それでも結局自分の口から教団の秘密を話すことはできないと言います。

自分の判断で話してしまうのはあまりにも責任が重く耐え難い。その代わり、他に壁の秘密を知る人物を教えると。

 

司祭が名を挙げたその人物は―

 

クリスタ・レンズ。

 

 

彼女は壁の秘密を知る「ある血族」に連なり、5年前に同族間の争いから逃れるため偽名で身を隠したのだとか。

そして104期の訓練兵団を経て、この瞬間は調査兵団の一員として前線で住民の避難誘導にあたっています。

 

クリスタ本人は現時点で壁の秘密を知りませんが、それを知ることができ、また公表する権利を持っているのだそうです。

とすると王族ということになるのでしょうか。

 

クリスタの名を聞いても顔が思い出せないハンジにミカサが「ユミルといつも一緒にいる子です」と告げた途端、ハンジの顔色が変わります。

「え・・・?」 「ユミル?」

 

忘れもしない、イルゼ・ラングナーの手帳に記された最後の記録。

巨人が明確な人語として発した名前が「ユミルさま」です。

前回サラッと名前が明らかになるまで目立った活躍もなく、ずっと氏名未詳で「そばかすの子」「クリスタのおまけ」扱いだった彼女ですが、突然重要な役どころとして浮上してきました。

 

 


時は少し巻き戻って、南区で巨人が発見されてから3時間後。

 

クリスタとユミルは巨人の出現ポイントから西方面の避難誘導を担当する班にいました。

南下して壁の破損箇所を特定する指示を下した上官に、ソバカス少女ユミルは反論します。

自分とクリスタは兵装がなく無防備なため(104期生は巨人化の嫌疑でこの直前まで軟禁されていた)、一度前線から下がりたいと。

提案は却下。

 

 

クリスタはユミルに声をかけます。いわく、私は自分で調査兵団を選んだのだからこのまま最善を尽くすと。

一方でクリスタが案じるのはユミルの胸中。

彼女はユミルが自分に執着し、まるで保護者のように振舞っていることを挙げ、私のために危険につきあう必要はないから逃げろと促します。

クリスタの推察によれば、実はクリスタが104期卒業生の成績トップ10に入れたのもユミルが席を譲ったからなのだとか。

そしてユミルはクリスタに憲兵団への入団を勧めていた。おそらくは彼女の身の安全を確保するために。

 

 

クリスタは怯えたような表情で、これまでずっと訊けなかった質問をユミルに投げかけます。

「何で・・・私にそこまでするの?」

「私の・・・生まれた家と関係ある?」

 

友情、戦友、同期、仲間・・・そういった温かい感情で繋がっていると思いたかった。

自分を心配してくれるのも、ありがた迷惑な好意や善意なのだと。

でも実際は職務・契約・役目・打算・・・のようなもので、本意に反して仲良しの演技をしているんじゃないか。

自分のことを好きなのではなく、自分の生まれや家柄と付き合ってるのではないか。

クリスタは随分前から薄々気づいていながらも、その真実を知るのが怖くて問いを発することができなかったのでしょう。

 

ユミルは「ある」と答えます。

クリスタが恐れたもの。ユミルが見ていたのは自分ではなく、自分の家柄。

不安に表情をこわばらせるクリスタ。

 

ユミルはこう続けます。

「クリスタ・・・安心してくれよ」

「私がここにいるのは すべて自分のためなんだ」

 

―だから、意に反して強いられているわけではない。

近づいたのは生まれが関係していたにせよ、選んだ道は自分で決めたことに違いない、と言いたかったのでしょうか。

 

クリスタはその言葉を聞いて、心から安堵の表情を浮かべます。大ゴマで。

おそらく、自分のせいで理不尽にユミルを死なせる事になるかもしれないという重圧を抱えていたのでしょう。

身を呈して姫を守った騎士と言えば格好はつきますが、現実は惨たらしく巨人の食い物にされるという凄絶なものです。

自分のためにそんなことを強いられている友人がいたとしたら苦しいでしょうね。

 

これで真の友情が手に入って良かったねと言えるほど二人の関係は単純ではありませんが、互いに隠し持っていた心の壁がひとつ取り除かれたのは間違いないでしょう。

 


さて場面は変わってコニーやライナーがいる南班。

 

生家のある村へ帰ってきたコニー。

ですが村はすでに蹂躙され人影はなく、コニーの家も全壊しており瓦礫と化した家の跡には巨人が仰向けに転がっていました。

 

しかしよく見るとこの巨人は手足が異常に細く、ほぼ頭と上半身しかまともな構造を持っていない状態です。

歩いたり這って進むことも難しそうですが、一体この巨人はどのようにしてここへ来て、どうやってコニーの家を破壊したのでしょうか?

今回のお話はここでおしまい、次回に続きます。

 

 

しかし巨人が自力で歩けないのであれば、この場で出現したか、ここまでは普通の状態だったのに後から縮んだか、誰かに運ばれてきたか、くらいしか思い浮かばないのですが・・・。

例えばこんなのはどうでしょう。

コニーの村の人達がなんらかの原因で一斉に巨人化してしまい、その際に巨人化が不完全だったコニーの家族の誰かがそのまま動けずに残されていた。

何の根拠もないデタラメですけど。

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